ちょろげ日記

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生後二週間、新生児の娘がRSウイルスにかかった話

RSウィルスの流行が広まりだしたというニュースが報じられましたが、みなさんRSウィルスをご存知でしょうか?

わたしは名前すら知らず、生後二週間の娘がかかったことがきっかけで初めてどんな病気なのか知りました。

乳児期早期にかかると重症化することもあるRSウィルス。その時調べた病気の概要と、娘がRSウイルスと診断されて入院した話についてまとめました。

これから出産を迎える方や乳幼児に接する機会のある方など予備知識として参考にしていただけると幸いです。

 

RSウィルスの概要

RSウィルスについて詳しい説明は、厚労省や国立感染症研究所のページにまとまっていますが、ざっとどんなものかわかるよういくつか抜粋します。

注目すべき感染症 RSウイルス感染症

RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)|厚生労働省

とくに乳児期早期の感染に注意

冒頭に書いたとおり、私は娘がRSウイルスにかかるまで名前すら聞いたことがありませんでした。

が!下図や説明の通り、主に乳幼児かかるケースが多い感染症で、とくに生後数週間の乳児期早期でかかると重症化するケースもある油断できない病気なのです。

f:id:tyoro_ge:20151020225651p:plain 国立感染症研究所「RSウイルス感染症の年別・年齢群別割合」より

RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。症状としては、軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。しかしながら、初めて感染発症した場合は重くなりやすいといわれており、乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。(厚生労働省ページより)

うちは生後二週間目、まさに乳児期早期にかかってしまったわけで、親としてもっと早く知っておくべきだったと反省しきりです。
 

見逃しがちな症状

RSウイルスは説明のとおり、一見普通の風邪のような症状です。場合によっては、病院にいかなくても良いのでは?と素人判断してしまうかもしれません。このあたりは後述の体験談でも書いています。

通常RSウイルスに感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難症状などが出現します(厚生労働省ページより)

 

流行するシーズンがある

RSウイルスは流行するシーズンがあります。

国立感染症研究所で公開されているグラフの通り、7月頃(28週ごろ)から報告数が増え、年末年始にピークを迎え、1月頃に収束していくことがわかります。

f:id:tyoro_ge:20151021231823p:plain https://www.nih.go.jp/niid/ja/10/2096-weeklygraph/1661-21rsv.html

RSウイルス感染症は、例年、季節性インフルエンザに先行して、夏頃より始まり秋に入ると患者数が急増し、年末をピークに春まで流行が続くことが多い。また、流行開始時期は、九州が他地域よりも早く、南・西日本から東日本へと流行が推移する傾向にある。亜熱帯地域の沖縄県は他県と異なり夏期にピークを持つ。(国立感染症研究所ページより)

娘もそうでしたが、流行のピーク近くに生まれる場合は特に注意したほうがよいようです。
 

知らないうちにうつしているかも…

ではどう予防すれば?というと、RSウィルスはワクチンがないのでいかにウイルスに接しないかになります。

感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主なものである。飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本 的な対策を徹底することが求められる。(国立感染症研究所ページより)

飛沫感染と接触感染が感染経路なので、インフルエンザなどと同様、手洗いと咳エチケットを徹底しないといけません。

f:id:tyoro_ge:20151021234123p:plain インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

重要だと思ったのは、かかっている大人がRSウィルスと気づいていない場合がありうる点です。

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。一方、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在しています。従って、咳等の呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。(厚生労働省ページより)

説明に書いてあるとおりですが、ただの鼻風邪だからと乳幼児のほっぺを触ると…そんなことがないように注意が必要です。

 

娘がRSウイルスにかかった話

という前フリで、いざRSウイルスにかかってしまったらどうなるの?ついて実体験をもとにまとめてみました。

妻がまめに日々の様子を日記につけてくれていたので、妻のコメントメモともに一連のながれを追ってみます。
 

咳でパニック

f:id:tyoro_ge:20151019232409j:plain 生後二週間目、座布団を布団代わりに寝る娘。

妻メモ「どうしてもベビーベッドでねてくれない。鼻水が気になる。」

産後一週間で退院、初めての子育て手探りの怒涛の一週間。

赤ちゃんってこういうものなの?という時期でどんな症状に気をつければいいかわかりませんでした。赤ちゃんもしゃっくりするんだ!と驚いてる頃です。

この日、夜中になって咳が始まりました。
 

妻メモ「咳とくしゃみがひどい。しゃっくりもしてて全然休めてない。呼吸がつらそう。喉に何かひっかかってる?」

この時の娘の咳は今でも忘れられません。大人ばりの大きさで「ゲェェー」とひねり出すような咳。

風邪かもしれないと、熱をはかると36.8℃程度です。

赤ちゃんがする普通の行為なんだろうか?「赤ちゃん 咳」で調べるといろいろな可能性を示唆するサイトが並びます。

まずは医者に見せるべきかもしれないと、小児救急電話相談へ電話すると近所の総合病院の夜間受付電話を教えてもらいました。

そこへかけると「熱がないようなので緊急性なしと判断しました。明日通常の診察できてください。」とそっけない返答。そう言われたら無理に動くわけにもいきません。翌日総合病院へ行くことにしました。

今は冷静に書いてますが、この日の夜は妻も私もパニック状態でした。もし、この段階でRSウイルスの症状を知っていればもう少し落ち着いて対応ができたかもしれません。

発熱は初期症状として普通に見られるが、呼吸状態の悪化により入院が必要となった際には体温は38℃以下になるか、あるいは平熱となっている場合が多い。 https://www.nih.go.jp/niid/ja/id/541-disease-based/alphabet/respiratory-syncytial/idsc/idwr-topic/2570-idwrc-1234.html

 

総合病院へ

朝になっても症状は変わらず、というかむしろ悪化しています。

妻メモ「ずっとせき。ぜいぜいした呼吸。顔を真っ赤にしてうなる。母乳を飲めない。」

総合病院の小児科へ行くと、新生児なので他の病気の感染のリスクを避けるために隔離した待合室へ。

そして、鼻粘膜や鼻水の検査やレントゲンの検査(新生児のレントゲンが珍しいせいか先生がたくさん集まっていた)をして診断が下りました。
 
妻メモ「RSウイルスに罹患してた。娘入院」

入院前の待ち合い室では、一歳半頃の女の子と母親がいました。同じくRSウイルスにかかったそうで、かかりつけの医者では診断してもらえなかったので総合病院にきたそうです。

後日、RSウィルスで入院している子どもたちが他にも10人近くいることを知りました。流行しているシーズンでは満床になることがざらにあるそうです。

 

ドタバタ入院、はじめは個室

f:id:tyoro_ge:20151019232423j:plain 娘には大きすぎるベッド

空きがあったことと新生児ということで個室へ。

数日間のつきっきりの看病は確定なので、オムツや妻の着替えなど必要なものをとりに行かないといけません(娘の入院着をレンタルできたのは助かりました)。

私がいければよいのですが、娘に必要な物が家のどこにあるかわからない始末(あぁ情けない)、徹夜の妻がドタバタと準備をしてくれました。
 

基本は対症療法、鼻水吸引、吸入、点滴

f:id:tyoro_ge:20151019232442j:plain 包帯にメロンパンナちゃんを描いてもらった

RSウイルスの治療は、基本的には対症療法です。娘の様子をじっくり観察して処置をして回復を助けて上げるしかありません。

RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(症状を和らげる治療)を行います。RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)|厚生労働省

 
妻メモ「体重がほとんど増えてないことを指摘される。鼻づまりの影響で母乳を飲めていなかったのかもしれない」

娘の症状では特にひどいのが鼻づまりでした。母乳時に呼吸ができない→飲まない→栄養不足、と回復が遅れてしまいます。

そのため、入院中は点滴をすることになりました。点滴がはずれないように左手は包帯がぐるぐる巻きに。

あわせて喉の状態を緩和するための吸入。これは初回から数回以降は家族がやることになりました。

そして、当面の重要な処置は鼻水の吸引です。これは看護師さんがやってくれるんですが、娘がギャァーと悲鳴のような声で暴れるんですね。これがちょっと可哀想過ぎて思わず目を背けてしまいます。

看護師さんいわく、こんな粘着性の鼻水が大量に出たのは初めて見た、というほど大量に鼻水が吸引されます。娘はすっと落ち着いた様子に。

全体的には心拍モニタリング+定期検診としっかりとした病院のフォローはありますが、基本的な対応は家族が行う形で数日を過ごすことになります。
 

不安な入院生活

f:id:tyoro_ge:20151019232431j:plain ミルクと排泄の記録

しっかりと栄養をとれているか確認できるように、出産後の産院でつけていたような記録をとります(口に入れた量>排泄量になるっているかチェック)。

妻メモ「娘の体重がほとんど増えていないと指摘を受ける。いろいろ不安だけれど、娘の完治のために母乳にこだわらないことにした」

さらに先生から「鼻が詰まっていると母乳のほうが息をしづらくて赤ちゃんが大変だから、こだわりがなければミルクにしたほうがよい」と、アドバイスを受け、ミルク中心にすることに決めました。

一日ずっとつきっきりなのは家でも一緒ですが、慣れない病院の狭い個室で慣れない鼻吸引もしなくてはいけません。体を休める暇もなく娘の看病をしてくれた妻に感謝。

妻曰く、くわえて地味につらかったのは「乾燥」だそうです。祖父が気を利かせて用意しようとしてくれたミニ加湿器は、院内感染のリスクがあるため全力でNGと言われました。結果、妻の喉もガラガラに。
 

妻メモ「体調改善しつつあるけど、まだ鼻水(ドロドロ)がつまるとくるしそう。がんばれ娘。」

献身的な妻の付き添いのおかげで、娘の体調が良くなってきたところでRSウイルスにかかった子ばかりがいる相部屋へ。個室を使う子が入院することになったためだそうです。

お互い様ですが、この相部屋がつらかった。

RSウイルスで入院する子は基本的には初感染の月齢が低い赤ちゃんです。睡眠サイクルが決まっていなくてちょっとした物音で起きてしまう赤ちゃん数人が同じ部屋にいることを想像してください。一人が泣き出すとそこは戦場に…。

退院までの数日は相部屋で過ごすことになりました。
 

一時的な出費にあせる

f:id:tyoro_ge:20151024123011j:plain 約40万也

そういったドタバタの中、当然ですがお金の説明も受けます。もっとも娘が気になって上の空でしたが。

乳幼児の医療費は無料なので戻ってくるお金なのですが、娘はまだ保険証がありませんから一時的といえど想定外の金額を支払うことになりました。

保証金で10万円を先払いし、後日差額約30万円を支払い。合計約40万円の支払いです。

最終的に自己負担した金額は、ありがたいことに娘と妻のアメニティ代金の3千円程度だったので一安心でしたが、結構あせりました。
 

無事退院

妻メモ「寝言が怪獣っぽい声でかわいそう。でも、娘退院!よかった。」

3日目に点滴が外れ、無事5日目に退院となりました。といっても完治したわけではなく、家でも鼻水の吸引などしばらくドタバタが続きましたがその当たりの話は後日まとめてみようと思います。

それにしても、無事に治まって本当に良かった。
 

まとめ

後半にドタバタをまとめましたが、前半のようなことを知っていればもう少し落ち着いて的確な対応が出来たかもしれません。

また、前述しましたが、大人は鼻風邪かな?と思ってRSウイルスにかかっている場合もあるそうです。例年、年末にかけてRSウイルスが流行します。特に鼻風邪などの自覚症状がある人は極力近づかないなど、乳幼児に辛い思いをさせないように意識していたほうが良いかもしれませんね。
 
退院後に家で苦労した鼻水の吸引については、こちらの記事でまとめています。

tyoro-ge.hatenablog.com