ちょろげ日記

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「コンテイジョン」を観てパンデミックで何が恐ろしいのかを知るとともに手をしっかり洗おうと思った

10月に入ってエボラ関連のニュースが増えてきています。

当事者としてどうこう考えるような状況ではありませんが、実際その時になったら、どんな恐ろしい事が起きて、どう判断してどう対処すべきなのか……。

そんなパンデミックの恐ろしさについて考える切っ掛けを与えてくれる映画、「コンテイジョン」を観ました。

ウィルスパニックを描いた映画は数多くありますが、この映画は、例えばアウトブレイクのようなエンターテイメントな盛り上がりはありません。

ウィルスによって世界中が混乱していく様を、国や機関(WHO、CDC)の視点・家族の視点などから同時並行に、淡々と描いています。
 

コンテイジョンが描く2つの「伝染」

コンテイジョンが描いている「伝染」は2つあって、1つはウイルスの感染。もうひとつはウイルスの恐怖につけこんだデマや不信感の拡散です。
 

ウイルスの感染

ウイルスがどう感染していくのか?コンテイジョン(Contagion)=接触による病気の感染というタイトルの通り、感染者が触ったつり革やポール、手すりをそのまま映し続けるといったカメラワークが随所にでてきます。  

接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的な接触や、手、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、ボタン等の表面を介しての接触で病原体が付着することによる感染のことです。病原体に汚染された食品・物・手指、病原体を含む汚物・嘔吐物を介して主に口から体内に侵入します。

感染症とは何?|これからの衛生管理|大幸薬品株式会社

 
では、手に付着した病原体が口から体内に入る経路は?というとシンプル。

ケイト・ウィンスレットが演じるCDCの感染症調査官が「人が1日に顔を手で触る回数は2000回から3000回」と驚きの数字で、注意を促すシーンがあります。

2000回から3000回って本当?と調べると、同じような疑問がQ&AサイトのQuoraにもあって、1時間あたり100回だとか16回だとかいくつかの論文が紹介されていました。さすがに3000回は盛り過ぎのような気もしますが。

Is it true that the average person touches their face between 2,000 and 3,000 times per day? - Quora
 
 
いずれにせよ、この映画を観た人は積極的に手洗いをするようになるはずです。

ちなみに、今回のエボラに対する自衛手段として何をすべきか?というCDCのQA集には、まずはじめに「Wash hands frequently or use an alcohol-based hand sanitizer(手を頻繁に洗うか、アルコールベースの手の消毒液を使う)」と記載されています。

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Questions and Answers on Ebola | Ebola Hemorrhagic Fever | CDC 
 

デマや不信感の拡散

コンテイジョン(Contagion)を英辞書で引くと、 人から人へ移る悪影響という意味もでてきます。

映画では、ジュード・ロウ演じるフリージャーナリストが、不安を煽る記事や陰謀論をブログに書いて注目を集めカリスマ化していきます。

ウイルスそのものはWHOやCDCが感染をコントロールし、特効薬をつくりだすよう努力しますが、デマは誰がどうコントロールするんでしょうか?特効薬はあるのでしょうか?
   
今回のエボラでもすでにデマによる混乱も起きていて、例えば、アラスカ州アンカレッジでエボラ感染者が出たとツイッターでデマが広がり警察が対応する騒動になったそうです。

陰謀論的なところでは、エボラウイルスの正体がナノロボットというデマだったり、

荒唐無稽なところでは、エボラで亡くなった方が生き返った!というエボラゾンビのフェイク画像が出回って話題になったり、

デマではありませんが、「エボラに勝つためには患者を焼き払わなければならない」という過激なツイートをして注目を集める人が出たり、

様々な情報が飛び交っているようです。

こういったデマに対して、例えば、WHOのツイッターがアカウントが「ホメオパシーによる治癒に効果があるというエビデンスはありません」と直接リプライしたり、

CDCのアカウントが「#EbolaFact」というハッシュタグを使って定期的にツイートしたりと、デマを是正しようという試みを行っています。

 
現実でもこんな塩梅ですから、少なくとも個人の自衛手段として接触感染に対する手洗いのように、デマに対する情報検証力・判断力を日頃から培っていかなくては、と感じました。
 

映画としての魅力

映画的なポイントを上げておくと、出演者がやたらと豪華!全員いい味だしてます。

ローレンス・フィッシュバーン、ケイト・ウィンスレット、マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ブライアン・クランストンなどなど。
 
監督はスティーブン・ソダーバーグ。豪華出演者を群像劇でまとめ上げるのがやっぱりうまい。ただ、トラフィックやオーシャンズに比べると淡々としていて派手さが一切ないので、映画としてすっごく面白いか?というとそこまでオススメはできません。

あと、音楽が怖い。怖カッコいい。調べてみるとクリフ・マルティネスという作曲家で、なんとレッド・ホット・チリ・ペッパーズの元ドラムだそうです。
 

そんなわけでパンデミックの恐ろしさとそれに対してどうすべきかを考えさせてくれる映画「コンテイジョン」。ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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