小田原出張ひとり飯にちょうどいい、アジのたたきとアジフライがうまい店
日ごろの外食は3歳児のお好みのお店にしかいけないので、たまの出張のひとり飯はいつも食べられないものを食べることにしている。
たまの出張で小田原に来た。
旅先のひとり飯はご当地の名物を食べたい。小田原といえばアジらしい。
アジは小田原を代表する魚!アジのたたきは小田原発祥と言われています。
刺身やフライも美味しく、アジ料理を食べさせてくれるお店が小田原にはたくさんあります。
小田原周辺でうまいアジを食べるなら、小田原漁港の最寄り早川という駅まで足を伸ばさないといけないらしいが、そこまでする時間がない。そこで、小田原駅でうまいアジを食べられる店を探すことにした。
ワイワイガヤガヤの中のひとり飯はあまりよい記憶がないので、旅先のひとり飯は店が混む時間は避けるようにしている。
日曜の17時前。まだ店が混む時間ではないが、こんな時間からやっていてうまいアジが食べられる、そんな小田原出張ひとり飯にちょうどいいお店があるんだろうか。
あった。
r.gnavi.co.jp小田原駅から徒歩3分、営業時間11:10〜21:00、日曜営業、アジがうり。
小田原駅から魚がしに行くには、地元民むけの商業施設と観光客向けのマルシェやら民芸品ショップが混在する地下街を通っていくと近い。地下街から地上に出るとにわかに観光客向けの店がいくつかならび、わずかな時間で旅行気分をあじわえるちょうどいい立地にある。
店の方向に三井住友銀行があったので、 念のためにお金をおろしておこうと寄る。銀行を出て、さて店はどこだと見渡すと、真隣にお店があった。ちょうどいい。
量産っぽい食品サンプルがならぶ入り口にやや気が引けたが、今から他の店を探すと混む時間になりそうなので、わりきって入ることにした。基本的には観光客向けの店なんだろう。
店に入ると、入り口付近で店員のおばちゃんたちが数人あつまって談笑をしていた。店内は奥行きがあって入り口の様子から想像するよりずいぶん広い印象を受ける。後で調べたら二階もあって100席近くある大きな店だったようだ。
こちらに気づいたおばちゃんが、いらっしゃいこちらどうぞ~と、入ってすぐの席に案内してくれた。
案内された席のあたりはややこぢんまりとしている。ひとり飯にはこれぐらいがちょうどいい。
メニューにざっと目を通して、一息ついて、すいませ~んとおばちゃんを呼ぶ。とりあえずアジのたたき、瓶ビールを頼んだ。
これから始まる店のかきいれ時前のひと休み、といった感じで店のおばちゃんたちは世間話をしている。やれダイエットしたいのにヨーグルトとアイスがとまらないだの、他愛のない話がとぎれとぎれに聞こえてくる。
そうこうしていると、瓶ビールが運ばれてきて、一口飲もうかどうか悩んでいるうちにアジのたたきがやってきた。アジ、アジ、アジと高ぶる気持ちを抑えて、スマートフォンで撮ったらこんな写真になった。
アジを醤油だけで一口たべてからビールをぐいっといって、そのあと生姜を醤油にといて多めのアジを……とアジを食べることだけ考えていたので、このときの気分がよくわかる写真になった。店の照明の具合がちょうどいい。
見た目からして、これは絶対うまいやつだ、というのがわかる。海なし県の長野出身の私としては、海鮮偏差値が非常に低いので、もうこれだけで合格だったりする。
予定していたとおり、最初は少しだけ醤油をつけて食べる。魚を食べるときにちょっとでも臭みがあると口の中が残念なことになって、それ以降も警戒しながら食べないといけない。このアジのたたきは当たり前のように微塵も臭みはなくて、安心してアジの味を楽しむことに集中できる。
案の定、最高にうまい。
しかし味がうまいからアジ、と言うけれどアジの味ってどう表現すればいいんだろう?ちょうどいい言葉が浮かばない。
アジは白身か赤身かというと、赤身魚に分類されるがマグロなんかとは系統が違う。まったく別の観点では青魚に分類される。青魚は体に水分が多く、EPA・DHAなどの脂肪酸が多いのが特徴で、これがアジのうまさの要因らしい。ただ、どちらも腐りやすさの要因にもなる。
つまり、アジの味は、身近な白身魚や赤身魚のどちらでもない青魚独自の味なのだが、それも鮮度が良くなければ本当の味ではない、ということになる。
しかも、小田原漁港で獲れた魚の90%は小田原市と周辺地域で消費されているらしく、もはやこのアジのたたきはここらでしか味わえない逸品ということになり、幼少に鮒の甘露煮やら鯉こくやら海鮮偏差値が低い魚料理しか食べていなかった私にはとても表現できない最高の味なのだから、とにかく楽しめと言うしかない。
小田原のアジは小田原の主力漁業である定置網で獲られます。定置網とは、魚を誘い込むように魚の通り道に網を仕掛け、中に入った魚を獲る漁法で、小田原では米神・石橋・江之浦・根府川に大型定置> 網の漁場があります。小田原を含む相模湾西部の定置網による漁獲量の90パーセント以上は、小田原市と周辺地域で消費されており、定置網漁業は極めて重要な漁法です。
そんな感じでアジのたたきを楽しんでいると、遠くからにぎやかな声が聞こえてきた。二階のお座敷で地元の人たちが宴会でもしているんだろう。たまにどっと盛り上がる声が聞こえる。これが真隣なりであったらと思うとぞっとしないが、なんとなく聞こえる宴会の声がひとり飯にはなんともちょうどいい。
宴会に触発されたわけではないけど、ここでもう一品を頼むことにした。はじめはアジのたたきと並んで店のうりであるアジの生すしにしようかと思っていたが、新鮮だからこそのアジをあえてフライで食べてやろうという発想にのることにした。
アジフライ入場。
出てきたのは肉厚なアジフライが4尾。干物のように薄く広くガバっと開いているアジフライばかり食べて生きてきたので、開いていることがアジフライのアジフライたる部分だと勝手に思いこんでいた。
アジを揚げればアジフライなのだ、という当たり前の気づきを得ながら一口。
「なにこれ、ふわふわしてる!」
ひとりなのに声に出してしまった。もちろん衣はサクサク。「外はサクサク、中はフワフワ」というフレーズはアジフライのためにあったのか、とまた気づきを得てしまった。なんて気づきの多いアジフライなんだろう。
アジのたたきも良いけれど、アジフライはソースにつけてビールを楽しむという基準点の高さに加え、新鮮なアジのうまさと、このサクフワ食感の加点要素が入るので、かるく銀河系最高得点を叩き出してしまった。
もちろん海の近くのアジフライ強豪校に囲まれて育ったような人たちにとっては当たり前の味なのかもしれないが、海鮮偏差値が底辺の私にとっては、アジフライの概念をかえるのに十分な逸品となった。
あぁ、これが優勝というやつか、ということで記念に写真を撮った。
アジのたたきにアジフライに瓶ビール、これで腹八分目、やや名残惜しいところで店を出ることにした。
うまいものに出会うといつも、もっとたくさん食べられたらいいのになぁ、と胃袋の小ささを残念に思うが、ほろ酔いの勢いにまかせて食べてもこれ以上満足しないことはわかっているので ちょうどいい頃合いで店をでる。これも出張ひとり飯の鉄則。
というわけで、小田原の出張ひとり飯にちょうどいい、アジのたたきとアジフライがうまい店の話でした。おそらく昼や夜のピーク時はたくさんのお客さんが来てこんなに落ち着いて食べられるわけはないだろうけど、さらっと小田原のアジを食べたい、そんな出張ひとり飯にはおすすめのお店です。
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