ちょろげ日記

日々のちょろっとしたことを

なぜ「はてブ互助会」がホットエントリー入りしやすいのか

はてなブックマークのホットエントリーをよくみる1ユーザーの戯れ言ですが、最近、ホットエントリーのアルゴリズム?を見直したほうが良いんじゃないかな、と思うことが多くなりました。

中身があったり時事ネタだったりとホットエントリーに入っていても違和感がない記事もありますが、なんで入ってるの?(個人の感想)と思う記事が目につくようになったからです。

で、気になったので前者のような記事が多いサイトと後者のような記事が多いサイトのブックマークのされ方を調べてみました(あくまで個人的な印象をもとにしているので、この時点であまり意味のない比較かもしれませんが…)。
 
当該サイトの過去30件の記事ごとに、1つ目のブックマークがついた時間から2つ目、3つ目と何分おきにブックマークがついていったのかをグラフにしています。

グラフの配置は以下のとおり。

  • 左:ホットエントリーに入っていても違和感がない記事が多いサイト
  • 右:なんでいつもホットエントリーに入ってるの?(個人の感想)と思うサイト

 
 
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まずは、ブックマーク数と時間に上限を設けていないバージョン。

縦軸がブックマーク数、横軸が1ブクマからの差分時間(分)になっています。

上にしゃきーんと伸びてるのは短い間に多くブックマークされている状況です。

ホットエントリー入りして注目を浴びやすくなり、記事の内容いかんでさらにブックマークがついてしゃきーんと伸びるケースが多いと思います。

また、右ににょきーと伸びてるのは、ホットエントリーからはずれて、時間が立ってから忘れた頃にブックマークされていく様子ですね。

左は、100ブックマーク以上の記事とそれ以下の記事で最終的なブックマーク数にバラツキが見られます。記事によって当たり外れがあることがわかります。

右は、100ブックマーク以上が1記事、残りは50ブックマークあたりにまとまっています。記事によるブックマーク数のバラツキが少ないのが特徴的です。

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次は、同じグラフをブックマーク数を上限50、時間軸を上限600分にしたもの。1ブクマ目から10時間のブックマークのされ方を表しています。

左は、すでにバラツキがでています。おおよそ200分あたりでしょうか、このあたりのブックマークの勢い(一定時間あたりにされるブックマーク数)が最終的なブックマーク数に影響を与えていそうです。

右は、かなり偏りがあります。というか、初動がまとまりすぎじゃないでしょうか。ほぼすべての記事が200分以内に10ブックマークを獲得しています。
 
右のサイトはほぼ毎記事ホットエントリーしています。

もしかするとホットエントリー入りの指標の1つがブックマークの勢い(一定時間あたりにされるブックマーク数)で、目安としては200分あたりで10ブックマークなのかも?

右だけもう少しスケールを狭めて見てみます。

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右の同グラフをブックマーク数を上限30、時間軸を上限200分にしたもの。

切り良くみると、60分で5から15ブックマーク、120分で10から20ブックマーク、程度の勢いがあります。

仮にホットエントリー入の指標の1つが単位時間あたりのブックマーク数(ブックマークの勢い)であるとすると、初動で安定したブックマークの勢いを獲得できるサイトは、時間帯によると思いますが、内容を問わず毎回ホットエントリーしてもおかしくありません。

ちなみに、右のサイトの30記事のうち20ブックマーク以内でブックマークしている人をカウントすると、ブックマーク数が多い上位10人はこうなりました。

user ブックマーク回数
user1 28
user2 24
user3 24
user4 23
user5 22
user6 21
user7 21
user8 19
user9 19
user10 19

つまり、右のサイトは「記事をアップしたタイミングでブックマークをつけるファンが多いサイト」なのだと思います。その結果、ブックマークの勢いがついて、ホットエントリーする(ここは仮説)というわけです。

これが純粋なファンであるか、打算的な互助であるかは関係ありません。
 

「仮に」の部分が事実だとすれば、やはりホットエントリーの仕組みを見直したほうがよいんじゃないかな、と思います。

このまま放置するとホットエントリーねらいのスパム行為がもっと顕著になるのではないでしょうか。

そもそも今回、調べてみようと思ったきっかけが、ホットエントリー入りしていたある記事です。

サムネイルからしていかがわしいサイトで、なんでこんなサイトがホットエントリーしているんだろうと調べてみました。

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60分で10ブックマークの勢いがでるよう狙ったかのようなブックマークのつき方です。実際にブックマークしていたのは、あたかもスパムために作られたかのようなユーザーばかりでした(ここは憶測)。
 

とはいえ、以前「はてなブックマーク互助会の可視化」をした時に書いたとおりに今はなっているようなので、ホットエントリーの仕組みの見直しについては、あまり期待はできないのかも。

はてなの運営が仕組みを替えないのであれば、今後これらのブログがホットエントリーに頻繁に入ってくることが考えられる。上で上げたようなはてなブックマークコミュニケーションの少ないブログは相対的にホットエントリーに入りづらくなるだろう。

tyoro-ge.hatenablog.com

「i.softbank.jp」でなりすましメールの当事者となってしまった話

先日、妻がなりすましメールの当事者となってしまいました。

なりすましメールはよく耳にしますが、対岸の火事だと思っていました。ところが、いざ当事者になると何が起きているのか混乱してしまい対応に悩んでしまいます。

そこで、同じことが起きた場合にも落ち着いて対処できるよう、わかった部分とわかっていない部分について、備忘録がてらまとめておきたいと思います。

Twitterを検索すると同じ状況になった方が複数いらっしゃるようなので、参考になればと思います。知っている方には何を今更な内容かと思いますがご容赦下さい。

なお、文中になりすましメールに関する技術的な説明を付け加えていますが、私は技術面に精通していませんので、用語や仕組みの説明については改めてご自身で調べ直すことをおすすめします。

 

起きたこと概要

混同しないように頻出する言葉を次の通り統一しておきます。

  1. 妻のことを「本人」と記載
  2. 妻が利用しているスマートフォンを「iphone」と記載
  3. 妻が利用しているiphoneの標準メールソフトを「メールソフト」と記載
  4. 妻のメールソフトに届いた送信エラーメールを「送信エラーメール」と記載
  5. 知人へ送付されたメールを「なりすましメール」と記載

 
起きたことは大きく2つです。

  1. 差出人メールアドレスが「本人」のメールアドレスになっている「なりすましメール」が複数の知人に届いた
    1. 本人はなりすましメールを送付していない
    2. 本人のメールソフトにはなりすましメールの送信履歴はない
  2. 本人に送信エラーメールが複数届いた
    1. 「アドレス帳に載っている」または「過去にメール受信したことがある」メールアドレスへに送信できなかったという内容

 
絵にまとめるとこんな具合です。

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1.差出人メールアドレスが「本人」のメールアドレスになっている「なりすましメール」が複数の知人に届いた、2.本人に送信エラーメールが複数届いた、についてはそれぞれわかったことの問題点が別であるため、分けて説明をしています。
 

起きたこと詳細「なりすましメール」

「差出人メールアドレスが「本人」のメールアドレスになっている「なりすましメール」が複数の知人に届いた」ことについて、詳しくまとめています。以下の状況により、なりすましメールの当事者となったと判断しました。
 

なりすましメールの内容

知人へ送付されていたなりすましメール(Gmailで受信)の内容は次のとおりです。青色の塗りつぶしは私が加工した箇所です。

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差出人メールアドレス:本人のメールアドレス
 
件名:Fw: new message
 
本文:Hello! You have a new message, please read http://あやしいURL 本人のメールアドレス

 
本人はこのメールを送信した覚えもなく、メールソフトにも送信履歴は残っていません。第三者が本人を騙って「なりすましメール」を送信しているようです。

なりすましメールについては、Gmailの説明がわかりやすいので載せておきます。

なりすましとは、メールの送信元がわからないように送信メールの返信先アドレスを偽装する行為を指します。

ポストから手紙を出す場合は、手紙を受け取る人が送り主を確認できるよう差出人の住所を封筒に書くのが普通です。何か問題があれば、郵便局はこの住所を基に差出人に手紙を送り返します。しかし、自分の住所以外を差出人の住所として書くこともできます。つまり、誰か別の人が、あなたの住所を差出人住所として封筒に書く可能性があるのです。メールも同じことがいえます。サーバーはメールを送信するときに送信者を指定しますが、この送信者フィールドは偽装できます。配信に問題があった場合、自分のアドレスが差出人として偽装されていると、実際に送信したのが自分ではなくても、メールが返送されてきます。

自分のアドレスから送信した覚えのないメールへの返信が届いた場合は、次の 2 つの可能性があります。

  • あなたのアドレスを差出人として偽装して、メールのなりすましが行われた。
  • 返信があなたに届くように、元の送信者によってあなたのアドレスが返信先アドレスとして使用された。

自分のアドレスから誰かがメールを送信している(なりすましメール) - Gmail ヘルプ

今回は「あなたのアドレスを差出人として偽装して、メールのなりすましが行われた。」ケースです。
 

なりすましメールの「メール認証」結果

Gmailには、受信したメールが正しい送り先から送られてきているのかどうか調べる、「メール認証」という仕組みが用意されています。

メール認証とは、メール プロバイダが受信メールの送信元を認識できるようにし、スパムや不正行為を防止するための方法です。認証データを使用して、受信メールの送信元を確認することができます。たとえば、受信したメールの送信元が大手の金融機関やメール プロバイダ(Google、Yahoo!、Hotmail など)であるにもかかわらず、そのメールが認証されていない場合は、そのメールは偽装されている可能性が高いため、返信したり、添付ファイルを開いたりする際には注意してください。メール認証 - Gmail ヘルプ

今回であれば、差出人メールアドレスが「i.softbank.jp」で送られてきたメールが、本当にソフトバンクのメールサーバーから送られてきたかどうかを確認してくれるということです。ソフトバンクのメールサーバーから送られていない場合は、悪意のある第三者がなりすましを行っている可能性が高くなります。
 
メール認証結果は、メールを開くと確認できます。

f:id:tyoro_ge:20160502102954p:plain

Gmailでは、このメールが(スパム発信業者からではなく)本当にi.softbank.jpから送信されたメールであることを確認できませんでした。

メール認証ができなかったメールについては「?」マークが表示され、上記の文面を確認することができます。
 

なりすましメールのメールヘッダ

メール認証の内容についてはソースで確認することができます。今回のなりすましメールのソースは次のとおりです。

f:id:tyoro_ge:20160502110754p:plain

メールを送信してきたサーバーが書かれている「Received: from」にはあやしいサーバー名とIPアドレスが記載されています。そして、ソフトバンクのメールサーバーではないため「Received-SPF: fail」とメール認証が失敗したと記載されています。

メール認証が成功した場合のソースはこちらのとおりです。

f:id:tyoro_ge:20160502112730p:plain

「Received: from」はソフトバンクのメールサーバーらしきサーバー名とIPアドレスが記載されています。実際に、ソフトバンクのメールサーバーであることが確認できたため、「Received-SPF: pass」とメール認証が成功したと記載されています。

メール認証のしくみ(SPF)の理解については、下記などが参考になりました。

f:id:tyoro_ge:20160502112554p:plain

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:なりすましメール撲滅に向けたSPF(Sender Policy Framework)導入の手引き」より

 

起きたこと詳細「送信エラーメール」

「本人のメールソフトに送信エラーメールが複数届いた」ことについて、詳しくまとめています。

以下の状況により、次の「1と2」または「2」が行われたのではないかと憶測しています。

  1. 第三者が本人のアドレス帳を確認できる状況にあった
  2. 第三者が本人の過去の受信メールを把握できる状況にあった

ただし、後述の対応で書いていますが、上記を確定するための手段・事実がないため憶測にとどめています。
 

送信エラーメールの内容

「Mail delivery failed:returning message to sender」と「Mail System Error - Returned Mail」とういう件名の送信エラーメールが複数届きました。

f:id:tyoro_ge:20160502133559p:plain

f:id:tyoro_ge:20160502133605p:plain

それぞれ内容は次のとおりです。

まず、送信先が、すでにメールアドレスを変えている知人だったケース。

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送信先が、Amazonの購入通知メールの差出人メールアドレスなど、メール送信できない宛先だったケース。

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どちらも送信先へメールが届けられなかったよ、という内容が記載されています。
 

送信エラーメールの差出人メールアドレス

送信エラーメールの差出人メールアドレスは、「Mailer-Daemon@あやしいサーバー名」となっています。

f:id:tyoro_ge:20160502140340p:plain

このあやしいサーバー名は、なりすましメールの「Received: from」に記載されていたサーバー名を一致します。
 

なりすましメールの送り先について(憶測)

送信エラーメールの本文に記載されていたメールアドレスは、なりすましメール宛先にはいっていたことが考えられます。送信エラーメールをすべて目を通し、どういったメールアドレスか確認したところ次のケースであることがわかりました。

  1. 「アドレス帳に載っている」メールアドレス(過去にメール受信したかは未検証)
  2. 「アドレス帳に載っていない」かつ「過去にメール受信したことがある」

過去にメール受信したことがあるメールについては、メールの送信者だけではなく、メールのCCに入っているケースもありました。

下図のように、過去(2011年)に受信したメールのCC欄に載っていたメールアドレス(図中赤塗りつぶし)が送信エラーメールに記載されていました。

f:id:tyoro_ge:20160502163048p:plain

このため、影響範囲が大きい可能性があるのではと考えています。

また、冒頭に書きましたが、状況から見て次の「1と2」または「2」が行われたのではないかと憶測しています。

  1. 第三者が本人のアドレス帳を確認できる状況にあった
  2. 第三者が本人の過去の受信メールを把握できる状況にあった

これは、第三者が何らかの手段でメールアカウントのパスワードを把握したと考えられます。つまり、パスワードが安易だったため辞書攻撃などにより割り出されてしまったか、パスワードが何らかの理由で漏れてしまった可能性があると考えられます。そのため、一次対応としては「i.softbank.jp」のメールアカウントのパスワード変更が必要であると私は判断しました。
 

対応

実際に、本人および私が行った対応を時系列で並べると次のとおりです。

  1. 【本人】送信エラーメールおよび知人からのなりすましメールの報告を確認。
  2. 【本人】なりすましメールが送られている旨とメールに記載されたアドレスへアクセスはせずに削除する旨を、連絡が取れる知人などへ連絡。
  3. 【本人】Appleサポートへ電話をかけ、状況を説明。Appleサポートよりソフトバンク側の対応が必要となる旨を伝えられる。
  4. 【本人】ソフトバンクお客様サポート(ソフトバンク携帯から157)へ電話をかけるが混み合っていてまったく繋がらない。
  5. 【本人】最寄りのソフトバンクショップへ電話をかけ、状況を説明。「一括設定」すれば問題が解決すると指示を受け、実施。
  6. 【私】本人から状況を説明を受け、一括設定しただけでは意味がないと判断し、「i.softbank.jp」のメールアカウント設定より、パスワードの変更を実施。
  7. 【私】翌日、ソフバンクお客様サポート(ソフトバンク携帯から157)へ電話をかけ、状況を説明。対応としては、パスワードの変更で十分である旨を確認。第三者が本人のメールアカウントパスワードを使ってアドレス帳・受信メールを把握していたかどうかは確認することができない旨を確認。
     

「i.softbank.jp」とヤフーメールで似た事例が散見される件について

ソフトバンクのサポートの方々と話す機会がある度に、同様の事案が起きていないか確認をとりましたが「これまでそういった問い合わせはない」という旨を回答されていました。

一方、Twitterで検索したところ、非常に似たケースが見つかりました。

ソフトバンクTwitterアカウントと少し踏み込んだやり取りをされている方もいらっしゃいました。

さらに「なりすましメール」などのキワードで調べていくと、全く同じ状況かは判断できませんが、なりすましメールの当事者となってしまった方が散見されました。

たまたまかもしれませんが、キャリアを特定できるケースは「i.softbank.jp」と「ヤフーメール」に集中していて、4月20日以降のツイートが多かったです。参考にToggetterへ当該ツイートをまとめています。

togetter.com

 

まとめ

現時点では、妻の「i.softbank.jp」メールでなりすましメールが送られてしまっていることがわかっています。なりすましメールは今後も送信される可能性があるため、メールドレスを変更して、連絡が取れる方へ新しいメールアドレスに変わった旨を周知しました。

アドレス帳または過去の受信履歴が第三者に把握できる状況にあったかどうかは、わかっていません。ただしその場合は、第三者が何らかの手段でパスワードを知ってしまった可能性があると考えたため、対応としてメールアカウントのパスワードを変更しました。

パスワードについては安易なパスワードを避けるように注意しました。

基本ですが、IDと同じにする、誕生日や電話番号、車のナンバーなど、連想されやすいものは絶対にダメですね。また、悪意のあるものによる攻撃の場合「辞書攻撃」といって、辞書にある単語を片っ端からいれていくという手法があります。つまり、なるべく想像しにくい文字列にすることです。徳丸先生!正しいパスワード管理について教えて! | NO MORE 情報漏えい

同様のケースが散見されることが少し気になるので、以降、何かあれば追記します。

はてなブックマーク互助会の可視化

はてなブックマーク互助会のなんちゃって可視化を試みた話。

可視化してみた!といっても、プログラミング、可視化、まったくの門外漢がネットを調べながらやってみた…なので、素人のお絵かきレベルだと思って温かい目で見てください。

きっかけ

最近、はてなブックマークのホットエントリーを眺めていると「互助会」という言葉を目にするようになった。ブログの管理者同士がお互いの記事をブックマークし合う行為のことを指していて、はてなユーザーの間で問題視されているようだ。

しかし、相互ブックマークの目的を客観的に断定するのは難しいと思う。

はてなブックマークが3ユーザー以上になって新着エントリーに入り、そこから多くの人の目に触れるようになりブックマークが増え、ホットエントリーに入ってアクセスが増える。これは結果であって、相互ブックマークの元々の目的はブログ同士のコミュニケーションだったと言われれば、第三者がそれを否定するのは難しい。

客観的な情報が提示されればやっぱりおかしくない?と外野からのつっこみも入れやすいが、そういったユーザーの問題意識を全体の仕組みの中へどう反映させるかは、いずれにせよはてな次第となる。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

であれば、個人ごとにフィルタリングするなどして対応するのが健全なのかもしれない。

topisyu.hatenablog.com

ただ、これは互助あれも互助と感覚的に除外していった結果、どくさいスイッチのごとく誰もいなくなってしまってはしょうがないので、やはり客観的に判断できる情報が可視化されているとうれしい。

そこで、はてなブックマーク互助会の可視化できないか試みた。
 
 

可視化の定義

次の定義とする。

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データの収集は次の流れで行った。

  1. 調査対象のブログを設定
  2. 調査対象のブログの記事をブックマークした先着10名のはてなブックマークユーザーを取得
  3. そのうちはてなブログを運営しているユーザーを取得(①)
  4. ①のユーザーのブックマーク直近100件を取得
  5. ①のサイトの直近記事30件の平均被ブックマーク数を取得
  6. 上記をもとに定義の設定で描画する

10記事だとか10名だとか妥当な基準があるわけではない。まずは互助の傾向が見えるか試してみたいのでとりあえず適当に決めている。
 

はてなブログホットエントリーを可視化

はじめに、はてなブログホットエントリーにエントリーされている記事を起点に上記の定義に沿って可視化を行った。

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こういったネットワーク分析(に適切な内容なのかわからないが)をする場合、コニュニティを検出する手法があるらしいが、理解するのに10年近くかかりそうなので次の機会にするとして、視覚的なあたりをつけて互助っぽいところを掘り下げてみる。

ざっくり、大きな○が平均被ブックマーク数80前後、中くらいが30前後、小さいのが10前後。赤色の線が多い付近はブックマークによるコミュニケーションが盛んなところ、青色付近はかなり濃密なコミュニケーションをしているところ、といった感じでチェック、その結果、次の2つの箇所に注目した。

  1. 目立つのは左側にある青色の線が密集した付近。ここはとても互助い。この中から1ブログを起点に可視化してみる。

  2. 真ん中の大きな○が集まり赤色の線が飛び交っている付近。ここは互助とは言いがたいが、ブログ間のコミュニケーションが盛んなように見える。赤色のやり取りが多いブログをいくつかピックアップして可視化してみる。

 

互助いコミュニティの例

上で上げた1について。左側に位置する青色の線が密集した付近のうち、1ブログを起点に定義の手順で可視化を行った。起点としたブログのノードを黄色にしている。

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おおよそ8ブログで相互にブックマークをしていることが見て取れる。記事を投稿すれば最大8つの被ブックマークが得られ、その結果、平均被ブックマーク数が安定しているようにみえる。

これを互助とみなすかどうかは個人の判断によるが、これらの記事がホットエントリーに入ってくる仕組みが健全だとは思えない(はてなブックマークのホットエントリーを見る1ユーザーの感想です)。
 

大きなコミュニティの例

上で上げた2について。真ん中の赤色の線が飛び交っている付近から1ブログを選び、定義の手順で可視化を行った。起点としたブログのノードを黄色にしている。

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上の互助いコミュニティに比べると規模が大きい。青色の線は少ないが、濃い赤色の線が多くはてなブックマークによるコミュニケーションが盛んなように見える。

また、平均被ブックマーク数が大きいブログが多く、それらのブログを中心にコミュニティが形成されているように見える。

平均被ブックマーク数は大きいブログはある程度内容が伴っていると思われるが、このコミュニティによってブーストしているようにも感じる。これを互助ととるかはなかなか難しい。

もちろんホットエントリーに入ってくるブログがすべてこういうコミュニティに属しているわけではなく、例えば次のようなパターンもある。

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黄色のノードはホットエントリーから選んだ1ブログだが、相互にブックマークしている他ブログが少なく、はてなブックマークを介したブログ間のコミュニケーションはあまり行っていないように見える。
 

さらに大きなコミュニティの例

最後に、ホットエントリーの可視化から、はてなブックマークによるコミュニケーションが多くしているように見えるブログを10ピックアップ。それらを起点に定義に沿って可視化をした。

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239ブログが抽出された。これらを互助会とみなすかどうかは人それぞれだが、青色の線や濃い赤色が飛び交っており、非常に濃厚なブックマークコミュニケーションが行われているのは間違いない。

中には内容がしっかりしていて(個人の感想です)平均被ブックマーク数が大きいブログもいくつかある。はてなの運営が仕組みを替えないのであれば、今後これらのブログがホットエントリーに頻繁に入ってくることが考えられる。上で上げたようなはてなブックマークコミュニケーションの少ないブログは相対的にホットエントリーに入りづらくなるだろう。

また、青色の線や濃い赤いの線が集まるコニュニティの中心となるブログも把握できる。このはてなブックマークコミュニティで濃厚なブッコミ(ブックマークコミュニケーション)をしたい方は、中心に位置するブログユーザーへアクセスするのが最短かもしれない。

delete-all.hatenablog.com
 

まとめ

というわけで、なんとなく互助会と言えそうなコミュニティと互助会に近い巨大なコミュニティが存在することがわかった。

冒頭で書いたとおりなんちゃって可視化なので、この内容が何かの意思決定や良し悪しを決めるものではないけれど、一応、個人が互助会フィルタリングする際の判断材料として使うこともできそうだ。めんどくさいのそんなことしないが。

また、前述したとおり、これらのブログからホットエントリーが頻出する状態を良いとするかどうかははてな次第だが、個人的にははてなブックマークのホットエントリーに求めるものとはちょっと違うかなぁと感じている。まぁ個人のたわごとなのでそんなのどうでもいいのだけれど。

ちなみに、この辺りの話に触れそうな記事があったので楽しみ。

はてなブックマークやPressoなどで提供する情報は、いわゆる『ニュース』になる前のものが比較的多いと思います。感度が高く、ある分野の情報を熱心に集めているユーザーが発見したインターネット上の情報(URL)が取り上げられるので、結果としてニュースを扱っていることになります

2ちゃんヤフーと対極 「はてな」のまったり感

はてなはどんなテクノロジーを使い、ユーザーコミュニティーとどう向き合おうとしているのか。次回以降詳しく見ていこう。

2ちゃんヤフーと対極 「はてな」のまったり感

余談。一連の作業はRとCytoscapeを使ってみました。ツールとして使った程度で本来の使い方にはなっていないけれど、プログラミングなんてまともにできない私でもそれっぽいアウトプットが出せるのにビビった。なんて便利な世の中なんだろう。

LenovoはThinkPadにスパイウェアを仕込んでいたのか?

Lenovoが起こした過去2回の問題と3度目の問題、そしてそれを指摘した記事の問題についてまとめました。

Lenovoへの不信感

1度目の不信

ノートPCを買うならThinkPad、トラックポイントに出会ってからそう決めていましたが、2015年2月のニュースや解説記事を読んでその気持が大きく揺らぎました。

Lenovoの消費者向けPCのすべてに、出荷時にSuperfishというアドウェアが載っており、それは中間者証明を使ってインターネットのブラウザに広告を注入する。それが悪用されると、そのサービスが、ユーザのブラウザデータへのサードパーティアクセスを許可することになる。

 <省略>さらにまずいのは、Superfishのソフトウェアを削除しても、Lenoveのマシンから証明は(したがって脅威は)削除されないことだ。

LenovoのPC全機種にプレロードされているアドウェアが実は恐ろしいマルウェアだった! | TechCrunch Japan

d.hatena.ne.jp

d.hatena.ne.jp

 
私用しているThinkPadシリーズはこのSuperfish問題では対象外だったものの、Lenovoそのものへの不信感メーターを振り切るには十分な内容でした。

さらにLenovoの公式発表は納得のいく内容ではなく(当初危険性がない旨を記載しておいてその後記載を変更)、結果的に私のLenovo不信感メーターはスカウターよろしく跡形もなくぶっ壊れたのでした。

ただ、最後の更新では次のような反省のコメントが書き加わっていて、信頼回復へのかすかな期待も抱いていました。

私たちは常に経験から学びながら、私たちが何をすべきか、どのように行うべきか、について改善を続けていく所存です。Superfishに関するレノボの見解

 

2度目の不信

それから半年経った2015年8月。再びLenovoがやらかしたという記事を目にします。

Lenovoが販売しているコンピュータの一部に、不要なソフトウェアを再インストールする仕掛けがあることがわかった。

 <省略>このエンジンはコンピュータのBIOSに搭載されており、Windowsの主要なシステムファイルを自身で置き換え、コンピュータがインターネットに接続されると、即座にファイルをダウンロードできるようにする。

 <省略>Lenovoは7月31日付けのセキュリティアドバイザリで、このエンジンがハッカーに悪用され、マルウェアをインストールされる危険があると警告した。同社はこのエンジンの機能を取り除くセキュリティアップデートを公開したが、このパッチはユーザーが手動でインストールする必要がある。

レノボ、一部製品で「Windows」の主要ファイルを無断で上書き - CNET Japan

 
今回もThinkPadシリーズは対象外でしたので対岸の火事感はありましたが、1度目の公式発表の反省に対して抱いた一縷の望みをぶった切る内容に、金輪際Lenovo製品は買うまいという思いをガチガチに固めざるを得ませんでした。

1度目のやらかしに比べてネット上での注目は低かったように感じましたが、私のような印象を受けた方は他にもいらっしゃったと思います。概ね以下の投稿と同じ印象です。

superfishの時もこの件も実装がタコで脆弱性が生じてるわけではなく意図した実装で傍から見たら頭おかしいとしかおもえない挙動をしているわけで社内的にこれにOKが出る風土の会社の製品はちょっとさすがに対象外だから買いますというわけにはいかないですね。。。Lenovo、ノートPCにWindowsを再インストールしても復活するダウンローダを仕込んでいた | スラド セキュリティ

 
 

3度目の問題発覚?

さらに2ヶ月ほどが経った2015年9月末、「またLenovo!今度はThinkPadにスパイウェアを潜ませていたことが発覚」というThinkPadは対象外だからセーフという唯一の私の拠り所をバズーカでぶっ飛ばすような記事が目に入りました。

megalodon.jp

記事のタイトルと内容が何回か更新されているため、私が最初に目にした時点のWeb魚拓を貼っています。この点については後述します。

2015年2月にも、Superfishなる悪質なアドウェアを埋め込んでいることが明らかとなり、大スキャンダルに見舞われたLenovoですが、この時同社の見解は、「Thinkシリーズには埋め込んでいない」というものでした。しかし、今回は図ったかのように、全てのThinkシリーズが対象となっています。

 <省略>マーケティング会社にデータを転送 さらに酷いことに、いくつかのデータはサードパーティーとシェアされていることが判明しており、オンライン・マーケティングやウェブ分析企業の名前が、ファイルに並んでいたとのことです。

 <省略>なお、どのようにすれば解除出来るのかは分かっていません。

http://iphone-mania.jp/news-87019/ - 2015年9月26日 08:16 - ウェブ魚拓

 
今のところ防ぐ手段がわかっていない、という結びに慌てて目の前のThinkPadのネットを切断、トラックポイントの赤いボタンを見つめ「ThinkPad、お前もか」と一言。

その後、したり顔で妻に如何にLenovoがダメなのかを説明し、新しいPCを買ってはいかがでしょうかという交渉を挑み玉砕(2ヶ月ぶり3度目)。

しばらくして、スマホから衝撃の記事を再びチェックするといつのまにか追記がされていました。どうやら回避手段があるようです。

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タスクスケジューラで当該タスクがあればそれを無効にすれば良いようです。たとえば、Windows8であれば、Winキー+Sで検索を開いて「タスクのスケジュール」を検索して開いて、アクティブなタスクを確認。「Lenovo Customer Feedback Program」を無効にします。
 

記事への不信感

さて一段落したところで、あらためてこの記事ちょっとうさんくさくないか?という疑念が浮かんできました。気になったのは次の点です。

  • ソースが曖昧
    • 当初、今回の問題を最初に指摘したComputerWorldという媒体の記事へリンクが貼られておらず、それを紹介するBGRという媒体の記事へリンクが貼られていた(BGRからはComputerWorldへのリンクが貼られているのに)。
  • 元ソースで使われていない表現を使っている
    • ComputerWorldの記事とBGRの記事ではスパイウェアという単語を直接使っていないが「またLenovo!今度はThinkPadにスパイウェアを潜ませていたことが発覚」というタイトルにしている。
    • ComputerWorldの記事とBGRの記事では明確に書かれていない「マーケティング会社にデータを転送」という表現を使っている。
  • ミスリードを起こしそうな文章
    • まるでsuperfishと同じ問題がThinkPadでも起きたかのように受け取れる文章「2015年2月にも、Superfishなる悪質なアドウェアを埋め込んでいることが明らかとなり、大スキャンダルに見舞われたLenovoですが、この時同社の見解は、「Thinkシリーズには埋め込んでいない」というものでした。しかし、今回は図ったかのように、全てのThinkシリーズが対象となっています。」
    • どのようなデータが外部に送られているのか記事からは一切不明。スパイウェアという言葉から読者が連想するデータが勝手に第三者に送信されていると受け取れる。

この記事はもしかして、センセーショナルなタイトルで煽ってるけれど丁寧に調べて書かれていないのでは?と不安がよぎりました。
 

大元の記事を読んでみる

自分なりに整理するために、始めに今回の問題を指摘したComputerWorldの該当記事を読んでみます。

www.computerworld.com

ここでもどのようなデータがどこに送られているのか、具体的な内容は書かれていませんでした。唯一分かるのはそういったことをしているかもしれないタスクがスケジュールされているという点です。

さらに、記事の下部にあるコメント欄には記事への否定的な意見がいくつか投稿されています。

This is hardly indicative of anything malicious and doesn't even come close to the level of spyware. This task is no different than similar product telemetry and customer experience feedback programs that many vendors use and have for years.(適当意訳:これはスパイウェアのレベルではないよ。他のベンダーもやっているユーザー・エクスペリエンスのフィードバックプログラムと違いがないよ。)

 

Your article is based on opinion not facts.(適当意訳:あなたの記事は事実ではなくて個人的な判断に基づいていない?)

 

また、タスクスケジュールはWindowsの基本操作で確認できますが、記事ではなぜか「TaskSchedulerView」というソフトウェアを使うように誘導しています。

しかもこの記事の筆者が同じ媒体の別記事で同ソフトを紹介する記事を書いていたこともあり、アクセスを稼ぐために刺激的な内容にしたんじゃない?という指摘も投稿されています。

This article feels more like a publicity stunt than anything else. (適当意訳:この記事は何よりも売名行為のように感じられます。)

タスクスケジューラはWindowsの操作でこうやって見られるんだよ、と皮肉った書き込みも。

There is a Task Scheduler application built into the Windows OS. If you want to review your Task Scheduler on a Windows PC, you can search for it from the start menu, or go to the c: drive and search for Task Scheduler. From the native Task Scheduler application, you can run, end, disable, look at the properties, etc., for any task.

こちらはPowerShell版。

By the way, if you are running Windows 8 or later you should be able to use PowerShell to see all of your scheduled tasks without having to navigate the Task Scheduler. Open a PowerShell prompt and type:

get-scheduledtask

Or for something with a bit more detail try this one-line expression:

get-scheduledtask | Select Taskpath,Taskname,Description,State,@{Name="Action";Expression={$_.actions.Execute}} | out-Gridview -title "Scheduled Tasks"

 
また、全文の意味が取れないので引用しませんが、コメントの一つには「clickbait(釣りタイトル)」という単語も。

というわけで、ITと英語に精通している訳ではないので私が読み違えている可能性もありますが、私が記者であれば「またLenovo!今度はThinkPadにスパイウェアを潜ませていたことが発覚」というタイトルをつけるのはためらってしまう内容でした。

 

他の媒体の記事を読んでみる

さらに第三者の意見を知るためにRedditなどを流し読みしてみると、大元の記事を事実としたうえでLenovoを否定する声がほとんどでしたが、否定的な声もいくつかみつかりました。

redditでは他のベンダーでもやっているよという投稿がありました。

A lot of applications(even very popular ones) do it by default.First picture is Firefox, second is of Chrome, third is of Mozilla Thunderbird.(適当意訳:多くのアプリケーションでもデフォルトでやってるよ。)  

View post on imgur.com
https://www.reddit.com/r/pcmasterrace/comments/3m2uth/slug/cvc1245

Slashdotではどういったデータが送信されているか調べた上で、無害なんじゃない?と言及する投稿がありました(私ではこの投稿の信頼性は判断できませんが…)。

So the collected data looks mostly harmless and somewhat anonymous, as far as posting data to a website with a stored ID can be considered harmless.(適当意訳:集められたデータはだいたい無害で匿名化されているようだよ、まぁ、匿名化されたIDをつかって送信されてるかぎりは、だけど。)

Lenovo Collects Usage Data On ThinkPad, ThinkCentre and ThinkStation PCs - Slashdot

  

スパイウェアとは?

果たしてThinkPadにスパイウェアは入っていたのでしょうか?整理するために、まず「スパイウェア」の定義を調べてみます。

利用者や管理者の意図に反してインストールされ、利用者の個人情報やアクセス履歴などの情報を収集 するプログラム等

スパイウェア対策のしおり IPAセキュリティセンター

 

スパイウェアとは、しばしば最初にユーザーの同意を適切に得ることなく、以下のような特定の動作を実行するソフトウェアを表現した一般的な用語です。 広告の表示 個人情報の収集 コンピューターの設定の変更

マイクロソフトセキュリティセンター

 

スパイウェア とはパソコンを使うユーザーに無断で特定の場所にある個人情報やユーザーの行動などを収集し、取得した情報をマーケティング会社など スパイウェア の作成元に送付するアプリケーションソフトのことです。また、このような動作をスパイ活動と呼びます。

「スパイウェア」とは? - Lenovo Support (JP)

Lenovoのページには、はてブのコメントでお前が言うなというツッコミがしっかりと刻み込まれていますね。

で、若干定義にバラツキはあるものの、今回のケースに当てはめるとポイントは2つありそうです。

1つは事前に同意があったかどうか、もう1つはユーザーの個人情報や機密情報が収集されているか。

今回の各記事では、事前の同意の曖昧さについては詳しい説明がありますが、収集される情報については説明がありません。

何か情報を送ってそうなタスクがあるけど事前に明確な同意とってたっけ?という内容をもってThinkPadにスパイウェアが入っている!と騒ぎ立てるのは尚早だったんじゃないでしょうか(個人の感想ですが)。

 

まとめ

Lenovoの公式見解について

ダラダラと記事を書いているうちに、Lenovoが今回の問題について公式見解を出したようです。

news.lenovo.com

Lenovoの声明によれば、同社製品にはバックグラウンドでデータを送信するソフトウェアが搭載されているが、このことはソフトウェア利用許諾契約に明記されており、他社の製品やスマートフォンなどと同様、その目的は統計的な利用データの収集/活用による製品改善。このデータはユーザー個人や使っている端末とは紐付いておらず、個人を特定することはできないとしている。

Lenovo、ThinkPadのスパイウェア疑惑について声明 〜個人データは収集していない - PC Watch

 
ThinkPadにスパイウェアは入っていませんよ、ということなので、各記事への疑念は当たっていたようです。

ですが、1度目2度目の流れを見てきた私としては正直に言うと文面通り信じられないという側面もあります。同じ印象を持っている方もいると思います。

どういうデータがどう個人への紐付けなしにどこに送られてどう活用されているのか具体的な説明が合ったほうが良いと思いますし、それが事前にわかるように利用許諾契約に記載してユーザーから明確な同意を得るフローを設けるべきだと思います。

f:id:tyoro_ge:20150929024925j:plain

個人的には、現在の利用許諾契約の記載は曖昧な部分があるように受け取れます。
 
reddit等をみていると、Lenovoとvolkswagenを併記する書き込みをいくつか見ました。失った信頼を取り戻すのは簡単ではないのだと思います。
 

問題を指摘した記事について

ところで、スパイウェアと断罪していた記事に戻ってみると……

iphone-mania.jp

なんということでしょう、いつの間にか「スパイウェア」という言葉がきれいさっぱり消えているではないですか。そして、本文の修正加筆もあわせてどこをどう変えたのか記載されていません。また、現在書かれている内容もLenovoの公式見解とは乖離があるように読めます。

すでにLenovo製品は買うまいと決めた私への影響はありませんけれども、このサイトはGoogleでニュースサイト扱いになっていますし、「スパイウェア」と書かれた段階で記事を読んだ人への影響はそれなりにあるような…。

事実かどうか保証せずに速報的に伝えるというスタンスでもいいかもしれませんが、そうであれば元記事の情報を正確に伝えるべきですし、訂正があれば履歴を残すべきだと思います。

というわけで、Lenovoとそれを取り巻くニュースサイトの問題についてまとめました。今後、Lenovoの問題を指摘する記事が出たら、しっかり事実を確認した上で、妻へ新しいPC購入の交渉をしようと思いました。

Googleの新しいロゴへの批判と、実はロシア生まれかもしれないという話まとめ

Googleのロゴが新しくなりました。

私は、いちユーザーとして新しいロゴは結構気に入っていて、特にコンパクトバージョンのロゴ(Gのみのバージョン)は前より良くなったと感じています。

Googleの検索結果からタブを開きまくって探しものをすることが多いので、ロゴ(ファビコン)が目を引いたほうがいいんですよね。あぁ、さっきのGoogle検索結果を開いているタブはこれか、と。

f:id:tyoro_ge:20150905233721p:plain

公式の言葉を借りるなら、このタブにはGoogleの魔法が働いてるな、という感じでしょうか。

新しいロゴはユーザーの皆さんの利用シーンにあわせて、どんな小さな画面であっても、そこに Google の ”魔法“ が働いていることをお知らせできるように変わりました。新しいデザインは、入力方法や端末サイズにとらわれず、シームレスにつながっているコンピューティングの世界を表しています。Google Japan Blog: Google のロゴが新しくなりました

ちなみに、他のサービスだとピンタレストのファビコンも結構好きです(上のキャプチャ画像の左から3つ目)。

 

新しいGoogleロゴへの批判

さて、そうは言っても万人に受けるデザインというのは中々ありませんから、この新しいロゴについてもいろいろと意見はあるようです。

www.cnn.co.jp

米ニューヨーク市立大学のイーナ・ザルツ教授は、グーグルの新ロゴを「子どもっぽくて野暮ったい。幼児向けの粘土のようだ」と酷評する。さらに、小文字の「g」と「l」の間隔が狭く、最初の「G」と最後の「e」の角度の違いに違和感があり、大文字の「G」の右下が必要以上に突き出していると批判。フォントを変えずに従来のロゴを改良するにとどめるべきだったと主張している。

なんでこういうデザインなのか?という批判の多くは幾何学的なバランスに対してされることが多いような気がします。

もちろん、私のような素人が当て推量でデザインの根拠を探そうとすると、やはり幾何学的な根拠に頼ることになるでしょう。例えば、最後の「e」は「g」に合わせて角度を変えてるじゃないかとか。

f:id:tyoro_ge:20150906001732p:plain

ロゴを見ただけでデザイナーの狙いや思考プロセスまで透視することはできませんから、客観的に誰でも指摘しやすい幾何学的なバランスに批判が集中するというのは、まぁしょうがないかもしれません(実際は素人が線を引いただけではわからないような幾何学的な観点もあるのだと思いますが)。

ただ、そこはGoogle様、ぬかりなくコンセプトを説明するページをしっかりと用意していて、ロゴに込められた思いが伝わるように努めているように感じられます。

design.google.com
 

この辺は東京オリンピックのエンブレム問題で議論の焦点の一つがコンセプトの所在や説明不足にあったところにも通じる話なのかもしれません。

そういう意味でもこのツイートはなんというか皮肉が効いている感じがするようなしないような。

 

「G」マークに不安を感じる?

で、今回のGoogleの新しいロゴに対する、そういった線を引いてずれてるずれてないという指摘でもっとも盛り上がっているのがこちら。

Googleの新アイコンは何かがおかしい、良く見ると気づく意図的なデザインの破綻

そう、このGのマークは、パイチャートのように、円が青、緑、黄、赤で分けられているが、それぞれのパイの切目は円の中心には向いていないのである。このGのマークを良く見ると、どことなく不安な感じがするという人が現れているのもそれが元となっているのだろう。

View post on imgur.com

このロゴをみて不安になる人がいる、その理由は色分けされた切れ目の線を延長してみたら円の中心に向かっていなかったから、という指摘です。

ちなみに、そもそも指摘元のgifで使われているロゴが本来のロゴと違うよ(実際は「赤と黄色の境界の延長線上に緑と青の境界がくる」)という記事への指摘がありましたが、それでも趣旨はかわらないという追記がされています。

これについては指摘の通りとなるが、この指摘をしている人も書いているように「それはロゴの説明の動画を見なければ判らない」のである。 その意味において、何ら知識を与えられずにこのGロゴを見せられて、それぞれのパイの切れ目がどこに向かっているのか、示すと結果的に、上のアニメーションGIFのようになってしまうだろう。

指摘の不備はありますが、たしかになんでだろう?という疑問は少なからず浮かびますね。
 

「G」をぐるっと、Googleによる説明

この点について、先で紹介したGoogleがコンセプトを説明しているページではどう書かれているんでしょうか?

The color proportions convey the full spectrum of the logotype and are sequenced to aid eye movement around the letterform.(適当意訳:色のバランスは、Googleロゴの全領域であることを伝えていて、文字をぐるっと目で追うような並びにしている。)

うーん、なんとなく言わんとしていることがわかるような気がしますが、英語の訳は我ながらうさんくさいので、動画を見ながら理解を進めてみます(以下、Evolving the Google Identity - Articles - Google Designの動画より)。

f:id:tyoro_ge:20150906022931p:plain

Googleのロゴで使われている全色を配置することで、「G」の文字一つでGoogleロゴを示していて、

f:id:tyoro_ge:20150906020447p:plain

緑と黄、黄と赤の境界線によって、視線に方向性をもたせて、

f:id:tyoro_ge:20150906023149p:plain

ぐるっと「G」の文字を一回りするような目の動きを誘う。

つまり、単に「G」一つに「Google」ロゴの配色をしただけでなく、目で文字周りを一周させるようなしかけを入れることで「Google」ロゴそのものを見たことと同義のようにしているということでしょうか。

「G」をぐるっと見回してグーグル。

この解釈が合っているのであれば、すべての切れ目が円の中心に向かっているだけのロゴにしなかった理由がよくわかります。
 

それでも綺麗に線が引けないとおかしくない?

元記事では、だったら(上のような解釈が書かれていないのでどう解釈しているかわかりませんけれど)綺麗に線が引けるように黄色の領域を広げればいいんじゃない?という追記がされています。

f:id:tyoro_ge:20150906043324p:plain イメージとしてはこんな感じ

 

この点については明確な答えは見つけられませんでしたが、わかりやすい示唆があったので、次の意見を紹介しておきます。

ロゴについて議論がされていたredditへ投稿されたデザイナーを名乗る方の意見です。

www.reddit.com

The lack of symmetry and geometric balance is intentional. Our eyes don't see on a perfect grid - things like color, gaps, etc all influence our perception of the weight of things. A very basic example is the letter S. An S from a geometric font like Futura looks pretty close to being symmetrical, but if you you flip it over you can see how far off our perception is.(適当意訳:対称性と幾何学的なバランスの欠如は意図的ですよ。私たちは完全な格子で見ているわけでじゃないし、色とかで、私達がそのものの重みをどう認識するか変わってくる。たとえばとっても基本的な例でいうと、「S」という文字。Futuraフォントの「S」は一見、かなり対称であるように見えるけれど、反転させた場合どうみえる?)f:id:tyoro_ge:20150906030910p:plain

 
上の「S」は上半分と下半分が対称(回転対称?)に見えますが、実際はそうではありません。図面上で綺麗に線引したものが、実際に人間が見て綺麗に見えるとは限らないよ、という指摘です。

この意見には多くの賛同が集まっていて、例えば、デザイン経験のある別の方がこういった書き込みをしていました。

First I try to balance everything mathematically and then I fiddle with things until it feels right to me.I've noticed that very often I have to add a pixel or two of white space where, technically, there should be a fixed amount (eg, spacing between all elements is a multiple of 15 pixels)because even if things are perfect on paper they don't feel perfect when I look at them.(適当意訳:デザインする時は最初数学的にバランスをとるよう試すよ、その後、自分が正しいと思うまでいじるんだ。で、1または2ピクセルのスペースを追加することが頻繁にあるって気づいた。紙の上で完璧であっても、実際に見たとき完璧だと感じることはないから。)

この書き込みに対して「S」の例を示した方の書き込みがこちら。

Exactly!It's a real art form to find that balance. I have a ton of respect for designers who have mastered it. (適当意訳:その通り!そのバランスを見つけるのが本物の芸術形式だよ。それをマスターしているデザイナーは本当に尊敬するね。)

 
つまり、幾何学的にバランスがとれているということと見た人がバランスがとれているとことは別である、と。綺麗に線が引けないじゃないか!という指摘が必ずしもデザインの本質をついた指摘になるわけではないんですね。

そう考えると、新しい「G」のロゴを見て不安を感じる人がどれだけいるのかという話なのかもしれません。意外と多かったりして。
 

新しい「G」はロシア生まれ?

ところで、いろいろと調べていると新しい「G」ロゴにベースとなるデザインがあったという話をみつけました。

www.dailytech.com

2008年にロシア人デザイナーのDenis Kortunovさんが、Googleのファビコンをかえるべきだ!と4つのデザインを提案する記事を投稿していて、そのうちの1つのデザインが今回の新しい「G」ロゴのベースになっているそうなのです。

ウェブアーカイブにその2008年の記事が残っています。

web.archive.org

Теперь есть все четыре цвета и литеру G видно более явно.(ロシア語がわからないので機械翻訳:今四色があり、文字「Gをより明瞭に見ることができます。あなたの小さな光沢を配置します。) f:id:tyoro_ge:20150906050654p:plain

 
このロゴに線を引いてみると、色の境界線の向きが中心に向かっています。

f:id:tyoro_ge:20150906051149p:plain

ベースとなったロゴと現在のロゴどちらがバランスよく見えますか?私は現在のロゴのほうがバランスよく見えますが、みなさんはどうでしょうか。
 

まとめ

新しいGoogleロゴへの批判とロシア生まれかもしれないという話をまとめてみました。

円状の「G」にGoogleロゴの全4色を配色するというアイデアをもとに、視点の動きを考慮した配色バランスを考え、幾何学的なバランスを越えて人が見て満足するバランスにブラッシュアップしていく。

ロシア生まれが事実だったとしてですが、現在のロゴにいたるまでのプロセスが見えてくるようでなかなかおもしろかったです。 
 
オリンピックのエンブレム問題でも原案と修正が公開されてその過程の説明がありましたが、抽象的な表現だけでなくもう少し具体的で丁寧な説明が必要だったような気がします。まぁ、そうはいっても最終案の好き嫌いで話が終わってしまうので、デザインの仕事というのは大変な仕事なのだなぁと思います。
 

ちなみに、新しいロゴのコンセプトはもっと詳しく読みこむとさらに新しい発見が沢山ありそうです。

例えば、Googleがコンセプトを説明しているページで、これまで14000バイトだったロゴをたったの305バイトにできるようになったという記載があります(305バイト版のロゴはリリースされていないかも)。

only 305 bytes, compared to our existing logo at ~14,000 bytes.

これがどう実現されているか、こちらで解説がされていました。

How could Google's new logo be only 305 bytes, while its old logo is 14,000 bytes? - Quora

A simplified version of the new logo, on the other hand, can be constructed almost entirely from circles and rectangles (with the exception of the lower-case g)(適当意訳:新しいロゴの簡易版は(小文字のgを除いて)円や長方形でほぼ完全に構築することができます。) f:id:tyoro_ge:20150906053040p:plain

簡単な図形のみで表現できるので、SVGタグで書けてしまうそうです。

紹介されているコードを貼り付けるとこの通り。

すごいですね!