小諸市動物園でペンギンの流しアジを観てきた
先日、2歳半の娘を連れて実家の長野へ帰省しました。そのとき娘を連れて行こう!と決めていた場所が、小諸市の懐古園にある小諸市動物園です。
行こうと思ったのは……ペンギンの流しアジを観るためなのです!ペンギンが流しそうめんならぬ流しアジをするところを観たかったのです!
懐古園の中にある小諸市動物園
「こもろし」は並び替えると「もろこし」だね、と娘に教えてあげました
ここ懐古園は、実家から車で15分、子どもの頃よく連れて行ってもらった昔懐かしいまさに懐古な園なのですが、うん十年ぶりの来園。あれ?こんなんだっけか?という場所がちらほら。
たしか象がいたような、油断するとう○ちを投げつけてくるチンパンジーもいたような。両親の時代の記憶(何回も繰り返し聞かされた昔話)と私の時代の記憶がごっちゃになります。
入園してすぐのエリア
ちなみに小諸市動物園は私の父母どころか、更に前の世代から親しまれている歴史のある動物園なのです。
小諸城址懐古園内にある。設立は1926年(大正15年)と長野県最古で、明治15年の上野動物園(東京)、大正4年の大阪市天王寺動物園(大阪)、大正7年の東山動物園(名古屋)などに次ぎ、小規模ながら非常に古い歴史のある動物園である。
唯一記憶どおりだった人間檻、一瞬何かの記憶の扉が開きかけた
飼育されている動物は80種類程度だそうで、鳥類が多い印象です。
なかなか羽根を広げてくれない孔雀、バズーカのようなカメラを抱えた人が朝来ないとだめだよーと話していた、そうなの?
目がとてもかわいいフクロウを間近で観察
左手側は崖になっていてその先に千曲川が流れています
貸し切り状態のライオン、怖いと抱きつく孫娘にじいちゃんは満足気
こじんまりとしていますが、2歳半の娘にとってはちょうどいい大きさのようです。というか、真夏に抱っこを強いられる大人にとってはありがたい大きさでした。
流しアジはじまりました
一通り動物を見終わると流しアジが始まる時間。ペンギンエリアの方へ向かいます。
すでに人だかりができていた
お盆の前の週末ということもあってか、この動物園の大きさにしてみるとかなりの人数。これを都内近郊の動物園でやったらとんでもない人だかりになるんだろうね、と妻。そのとおりだなぁ。
夏限定のイベント、流しアジは2015年から数えて3回目だそうで、飼育員さんはもちろんペンギンたちも滞りなく流しアジ体制に入りました。
隙間からのぞく
はじめは後列でしっかり観られなかったんですが、飼育員さんが気をきかせてくれて前列と後列を入替えてくれました。気配りがありがたい。
さて、流しアジがはじまりました。
アジ待ちのみなさん、ご当地マンホールの上に集まるのがおつな感じ
飼育員さんが上流からアジを流してそれをペンギンが食べる、いたってシンプルなイベントですが、これが盛り上がるんです。
まつ
きた
ズバッ
ペンギンは陸上でも目が利くんでしょうか。
ペンギンの視力は、いい調べ方がないので、これまで研究された例はほとんどありません。イルカやアザラシでは何かが 見えるとボタンをおすようにトレーニングされた個体をつかって視力や聴力が調べられています。ペンギンでもそういうトレーニングができれば も>っと研究が進むと思います。
かなりの速さでサーッと流れるアジをいとも簡単にキャッチしているので、視力は良さそうに思えます。どうなんでしょう。
次は団体さんに1匹のアジが流れてきました。
果たして…
シュバッ
うおおおお
集団のときは、奪われないようにすぐさま外に持ち出して走りながら一飲。観ている人たちがあーとった、食べちゃった、と湧きます。
そして、しばらくすると地の利と体の大きさを活かしたペンギンが登場。
上流ペンギン「ほっ」
中流ペンギン「まぢかぁ」
下流ペンギン「絶対こないわ、これ」
小さいペンギンはなすすべなし。自然界でも大きい個体が有利なんだろうなぁ、と思わせる展開に。
そう、流しアジは自然界の厳しさをまざまざとみせつけるイベントだったのです(ものすごい主観)。
それと、このイベントのポイントは、ペンギンとの近さ。
近い!
娘はじっくり観察するタイプなので、流しアジをふくめ、間近で動物をじっくりと観ることができて、とてもよい経験ができたと思います。
夏らしいイベントを堪能することができました、大満足。
小諸市動物園の状況
ここからは少し真面目なお話。
動物に行って気になったことが一つ。職員さんが少ないなぁ、とうことでした。行っている間に観たのはおそらく、流しアジのときに見た二人だけだったかも。このあたりの事情を少し調べてみました。
始めに目に入ったのはこの記事。
施設の古びた印象を少しでも拭おうと、正規職員1人に臨時職員4人という数少ない飼育員たちが、壁のペンキ塗りや園内の看板作りに汗を流している。「どこかに頼むと大きなお金になってしまうので、自分たちでやっています。予算が決まっているので、動物たちの栄養面や衛生面に優先して(費用を)かけられるように。(コンクリート床の補修のような)大きな工事となると、市役所で決めていただくことになる。希望は出すけど、なかなか難しいみたいですね」
正規職員1人臨時職員4人!そりゃ見かけないわけです。
手作りの動物紹介
がぜん気になってきたので、予算の観点でもう少し調べると、2014年に行われた「小諸市動物園を考える」というシンポジウムの様子がまとめられた報告書をみつけました。報告書の後半に掲載されているパネルディスカッションの抄録が具体的で素人にもわかりやすかったので少し抜粋してみます。
全てにおいて苦しい状況である。余所の動物園と違ってうちは独立採算で運営しており、入場料・駐車場料金・遊園地の乗り物代ですべての経営を賄っている。(省略)どこかを削らないと新しい予算をつけられない。そうした中で、削ってきたのが人件費であった。
小諸市動物園は特別会計であり、これは住民の血税から運営費を出すのではなく、利用者がそれぞれ受益者負担で料金をしはらえば良い施設という発想。
つまり、小諸市動物園は「市立」ではあるものの、税金で運営はしていないので、入場料などで稼がなければならない、というわけです。
チケットは大人1人300円
シンポジウムの報告書では、小諸市動物園の現状の打開策の1つとして「メディア戦略」があげられていましたが、ペンギンの流しアジはそれがうまく行った事例のひとつなのかもしれません。実際私も行ってるし。
でも、一時的な話題による観光客だけではやはり厳しいのだと思います。だいたい東京方面からの観光客は、流しアジの上流に居座った大食いのペンギンのごとく、軽井沢に喰われてしまって、その先の小諸にはなかなか来てくれません。
流しアジのように全国区の注目を浴びる→一時的にでも観光客が集まって小諸市動物園に活気がでる→近隣市民の注目が集まる→市民と連携した企画を実施→継続的に市民が通ってくれるようになる、というのがいい流れなのかなぁ。
せめてその流れにささやかならも貢献できるように帰省した時には、娘を連れて遊びに行くようにしたいと思います。今年はまだ娘が小さいから断念しましたが、来年はナイトズーに行けたらいいなぁ。
【ナイトズー当日受付のお知らせ】
— 小諸市動物園【公式】 (@komorozoo) 2017年8月4日
明日開催の今年一回目のナイトズーですが、まだ空きがあります!
夜のお散歩がてら、動物たちに会いに来ませんか?
ぜひご参加をお待ちしております♪
写真は昨日のムササビ滑空練習の様子です!!
スタッフみんなで練習しました😊#ナイトズー #ムササビ pic.twitter.com/45gngkWPiz
小諸市動物園の関連情報
今年(2017年)の流しアジは「7月15日(土)~8月27日(日)までの毎週土・日・祝日 11時30分 ~ 11時45分」に開催中。