はじめてのふぁんし~1980年代のベビー服を娘に着ていただいた
所用で娘を妻の実家に預け、妻と二人ででかけたある日のこと。
帰ると娘の着ている服が違うような?
物持ちの良い義母
聞けばダイナミックにブリッと背もれ、着替えの服がなかったので、妻が赤ちゃんの頃に着ていた服を引っ張り出してきたとのこと。
私「え?妻が1歳前後に着ていたってことは30年前(1980年代)のベビー服?こんなにいい状態で残ってるんですか?」
義母「毎年防虫剤を入替えてたからね。襟袖が白いのは黄ばんじゃって捨てちゃったけど、残ってるのは最近洗濯して干してたのよ。」
家事周りをとてもしっかりするお義母さんだと思ってましたが、ここまでとは恐れいります。しかも、今回着せてもらった服だけではなくて結構な数が残っているそうなのです。
今週のお題「好きな服」ということで、義母が大切に保管していた30年前のベビー服のうち、夏服(冬服も大量にあるそう!)からいくつか選んで、娘に着てもらいました。
ファンシーな1980年代
「1980年代 文房具」で検索するとわかりますが、80年代というとファンシーなデザイン全盛期、やはり当時のベビー服もそういったデザインが多くなります。
私と妻は、以前「ふぁんしーナイト ~人はなぜPOP体を使ってしまうのか~」なるイベントに足を運んでいて、ファンシーに対して感度が高くなっていたこともあり、義母がタンスから持ってきてくれた数々のベビー服を観た瞬間に同じフレーズを口にしたのでした。
私&妻「ふぁ、ふぁんしぃ〜」
2代にわたって着るファンシーベビー服
こんなにもファンシーな赤ちゃん期を過ごしていたのかと、妻は多少懐疑的でしたが、しっかりものの義母ですからアルバムもきれいに保存していらっしゃいました。
つまり、こういうことなのです。
ファンシーな妻(1980年代)
ファンシーな娘(2015年)
グレムリンやグーニーズ、マッドマックスなどなど、近年は80年代前後の映画の続編・リメイク・リブートの動きが盛んです。
1984年に公開されたターミネーターのリブート版が今年公開されたばかりですが、そんなブームに乗っかったかのような我が家のベビー服、じっくり見てるとあの名シーンが浮かんできませんか?
溶鉱炉に沈んでいくファンシー「あいるびーばっく♡」
ファンシーうさぎの今
ちなみに、二人が着ているのは大正10年創業の老舗子供服会社「フーセンウサギ株式会社」のベビー服です。
文字のカラーリングやテカリの表現、キャラクターなど、かなりf値(ファンシー値)が高い逸品なのですけれども、残念ながらこのフーセンウサギ株式会社自体は2013年に破産してしまったそうです。
「ミキハウス」ブランドの持つ「高額感」は並々ならぬものがあった。デザインやロゴや色柄の好き嫌いは置いておいて、多くの消費者に「高額である」という事実が根強く刷り込まれていたといえる。 これを逆手にとって「ギフト販売」を強化することに成功した。一方、フーセンウサギも百貨店・専門店を主戦場としながら、「セレク」はそこまでの「高額感」を消費者に刷り込むことができなかったように感じられる。
まだ存続していれば、ちょっと高めの服を買ってみようなんて時に、ミキハウス、ファミリア、フーセンウサギのどれにしようか?妻が着ていたフーセンウサギにしようか?なんて話をしていたかもしれません。
30年後でも着られることを考えると品質はバッチリですし、重ね重ね残念です。
ほのぼの
フーセンウサギ株式会社の服はもう一着ありました。
私「スヌーピー?」
妻「違うと思うけど」
調べてみると、1956年から2007年までに東京新聞や北海道新聞で断続的に連載されていた4コマ漫画のキャラクターだそうで、知りませんでした。
出版されている本のタッチとはずいぶんと違いますね。
ベビー服の方はこれぞファンシー、最初に紹介したうさぎと耳のデザインやひょうたん気味の顔のデザインが通じるものがあります。
80年代のベビー服のタグ
さすがにフォントはPOP体ではありませんが、タグのサイズ表示からも時代がみえてきます。
今は日本製のベビー服であれば、JIS規格の乳幼児衣料で規定されているサイズ表示(身長を表す50から90まで10刻みの数値)がほとんどですよね。
義母が出してきたベビー服のタグを観ると、JIS規格基準の表示や上の写真の様な表示、95といった中途半端な表示などバラバラでした。
1980年の赤ちゃんと2010年の赤ちゃんどちらが大きい?
ところで、1980年代の赤ちゃんと2010年代の赤ちゃん、同じ月齢だとしてどちらが大きいと思いますか?
厚生労働省の「乳幼児の乳幼児身体発育調査報告書」から「昭和35年、昭和45年、昭和55年、平成2年、平成12年、平成22年の身長比較」の表をみてみましょう。
一番右の列が平成22年(2010年)と平成12年(2002年)の比較です。1歳まではすべてマイナス値ですから、平成22年のほうが小さいことがわかります。
娘が6ヶ月目なので、女子の6ヶ月~7ヶ月の行をみてみます。
昭和55年(1980年)の66.8cmに対して直近の平成22年(2010年)は66.4cm、意外にも昔のほうが背が高い!また、身長だけでなく同報告書内の体重や胸囲の調査でも同じような傾向が見られます。
80年代のベビー服で「6ヶ月前後」と書かれていても、今の6ヶ月の赤ちゃんのほうが大きいから着られないんじゃない?と思っていましたが、調べてみると違うようで、昔の赤ちゃんのほうが今の赤ちゃんより僅かに大きいかほとんど変わらないようなのです(統計的な解釈はわかりませんので、数値をざっとみただけの印象です。また母集団の違いや妊娠期間短縮の影響など要因があるかもしれません)。
ざっくり、80年代のベビー服でも同じ月齢なら同じサイズ感で着られることがわかったので、娘に着ていただきましょう。
が、どうも着せやすさという観点では最近のベビー服の方がよいですね…。
ピッタリ!
でも、バンボから脱出を試みる娘。そろそろ限界が近いようなので急ぎます。
ショートパンツの謎
パステルカラーに「CANDY」の刺繍。まごうことなきファンシー路線なのですけれども、このショートパンツの形ははたしてファンシーなんでしょうか?
似たようなデザインのショートパンツはもうひとつありました。
私「このファッション要素ってどこから来てるのかわかる?」
妻「光GENJI」
【中古】ミュージックテープ 光GENJI / CO CO RO 【05P04Jul15】【画】 |
ドヤ顔で即答する妻。たしかにそう言われればそんなような…と思いましたが、光GENJIのデビューはこのベビー服が作られた後、1987年です。
ファンシー✕エアロビ
妻「それならこれだ」
80年代のエアロビクスブーム、たしかにこれっぽい!動画の45秒あたりからそれっぽい格好をした人たちがでてきます(動画サムネイルの左から2番目の人とか)。
キレキレの80年代エアロビブーム。この勢いでベビー服を作っちゃたんでしょうか。
でも、ブームの発端となったフラッシュダンスが1983年公開なので、時系列的にギリギリ違うのかもしれません。
1983年に公開された米映画「フラッシュダンス」の影響もあって、当時エアロビは大ブームとなり 「フラッシュダンス」でブームに!?リーボック定番のエアロビシューズから2014年モデルが登場 - IRORIO(イロリオ)
娘「エ、エアロビ!?」
ファンシー✕エアロビのなかなかレアなベビー服だったりして。
キキララの変化
最後はリトルツインスターズ(通称キキララ)のベビー服です。
住んでいる場所が「フワフワモコモコの雲のおうち」というファンシーの権化的なキャラクターたち。
世界観がしっかりしているせいかベビー服としても統一感があります。
今でも人気があるキキララは2015年で40周年だそうです。こちらのサイトでこれまでのデザインの変化をみることができます。
義母が保管していたベビー服は80年代前半のデザインだということがわかります。
また、80年代の後半はどうしちゃったんだ?という感じのデザインになっていたりと、時代の流行にあわせて変化するファンシー、言ってみればビジネスファンシーという側面も見えてきます。
せっかくなので現在のキキララと80年代前半のキキララを並べて比較してみましょう。
現在のキキララ
80年代のキキララ
一番の違いは足が見えているかどうかですね。あとは80年代の方が等身が長いような気がしますが、洗濯で伸びてしまっただけかも。
最後に80年代のパンツとあわせてキキララベビー服を着ていただきました。ファンシー体操着ってところでしょうか。かわいい。
まとめ
私「80年代のベビー服と今のベビー服ってまとめるとどう違うのかな?」
妻「こうだね」
手元にあった付箋にささっと描く妻。
おお!わかりやすい。
ということで、娘に1980年代のファンシーなベビー服を着ていただいたというお話でした。さすがにもう30年保管して私達の孫に…ってのは難しいかなぁ。