1ヶ月かかった1歳児の「慣らし保育」わが家の体験記
4月の第1営業日は1年でもっとも赤ちゃんと幼児が泣く日なのかもしれません。
なぜかというと、この日は慣らし保育初日なのです。
慣らし保育とは
慣らし保育とは、愛すべき家族たちと離れ、保育士さんや仲間たちに囲まれて楽しくやっていけるかどうか段階的に確認する期間(の保育)を指します。
進め方は保育園の方針や子どもの年齢によってまちまちのようです。見聞きした限りでは、初日は1時間程度預けて様子をみて、翌日から徐々にのばしていくというところが多いようです。
試されるのは子どもだけではありません。親もまた然り。
これまた自治体によって様々ですが、例えば、「両親フルタイム勤務」のポイント前提で入れた保育園の場合、4月中に母親の勤務記録を提出しないと「両親フルタイム勤務」ではないと見なされて退園、というところもあります。
2週間、1ヶ月経っても子どもが慣れないまま数時間しか預けられず、職場に復帰できず、八方塞がり?なんてあせることもあり得るのです。
いつか慣れるよ、と言いつつも親もドキドキの慣らし保育、我が家の様子を備忘録がてら残しておきます(妻の話を私が書き起こし)。
慣らし初日「日本で一番赤ちゃんと幼児が泣く日」
1歳児クラスの仲間たちは10人、娘をいれて11人(以下、イレブン)。初日は8時半と、少し遅めの集合でした。
妙な緊張感を感じ取ってか、早くも泣きだす子も。そして、勢揃いする頃には、まだ母親たちが部屋に残っているにもかかわらず全員が泣いていました。
保育士さんの「親は出てください~」の一声で親が退場、あわせるように全員が一斉に火が付いたように泣き叫び出します。
廊下からこっそり覗くと、
無常に閉まる扉へよちよちとつめより、水玉模様の穴から母親を必死に探すイレブン。さながらパニックムービーです。
一時間だけのつらい慣らし保育が始まりました。
これまで24時間365日ほとんど離れることなく一緒に暮らしてきた我が子との別れの時間です。
家に帰るほどの時間もないので、近くのファーストフードへ入店すると、そこには同じ境遇であろう放心状態の母親たちが……。
一時間後、元気に遊んでいるかも?という淡い期待を頂いて保育園へ。
娘は、ううっ〜とうなり泣きながら部屋中を歩きまわっていました。
迎えに来た妻を見つけるやいなや扉間際に設置された柵にしがみついてギャン泣き。イレブン全員がこの調子でずーっと泣きっぱなしだったそうです。
帰り際、別の保育園からも泣き叫ぶ声が漏れ聞こえて来ました。
やはり慣らし保育初日は日本で一番赤ちゃんと幼児が泣く日なのだと思います。
この日、娘は、家に帰ってからずっと「そこにいるよね?」と確認するかのように体のどこかを家族にくっつけていました。
慣らし2日目「安心タオル」
多分心が落ち着くんでしょう、娘は不安になったり眠くなるとタオルを手にして歩きまわります(多少選り好みはあるけれど、タオルであればなんでもよい)。
我が家では通称「安心タオル」と呼んでいます。
2日目は安心タオルを持たせる作戦で望みました(といいつつ渡し忘れましたが)。
それでも、先生が距離を詰めて接してくれているので、これならそのうち慣れてくれるだろうな、という安心感があります。
初日と同様に近所のファーストフード店で放心状態の母親たちと不安な時間を共有し、一時間後に保育園へ向かうと、
大きなシーツタオルを安心タオルにするほど不安だったようですが、それでも泣きじゃくりながらも遊びはじめたのはさすが子どもの好奇心と適応力です。
この日は、家に帰っても落ち着いていました。
これは意外と早く慣らされちゃう?期待が芽生えた2日目でした。
慣らし3日目「30分、そして15分延長」
3日目、2日目の様子からもう泣かないかな?と思っていましたが、教室で抱っこから下ろした瞬間にやっぱりギャン泣き。
家ごとに事情も違うので決めるのは親ですが、慣らし保育をどう進めていくか先生が相談に乗ってくれます。
無理やり長く預けて保育園を嫌いになってしまっては元も子もないので、我が家は娘の様子を見ながら少し慎重にすすめることにしました。
これまでの娘の成長具合をみていると、すぐに挑戦するより、よーく観察しながら少しずつ距離を縮めていくことが多かったからです。
慣らし4日目「保育園の洗礼」
4月上旬、もう暖かくなったし平気だろうと思っていましたが、さっそく保育園の洗礼をうけることになりました。
発熱、一発レッド退場です。
在園中に37.5度以上の熱がでたらすぐに親へお迎え要請の連絡が届きます。
こういった時に、かかりつけのお医者さんをどうするかが悩ましい。保育園から近いほうがいいとか、家から近いほうがいいとか、評判はどうなの?とか、入園までに調べて決められていませんでした。
結局、保育園に一番近い小児科病院へ行くことに。
熱は38℃にいったりいかなかったりでしたが、インフルエンザが流行っているということで要検査となりました。
熱が出てから一定の時間が立たないとインフルエンザの検査ができないということで、結局翌日も病院へ。検査結果は陰性、一安心です。
といっても熱は下がらないままなので慣らし保育に戻れません。さて、どうしよう。
自宅療養「買って良かったメルシーポット」
5日目以降は自宅療養が続きます。
薬を飲んでくれない問題をプリンにまぜまぜソリューションで解決して、早めの回復を祈ります。
この時買っておいて良かったと心底思ったのが電動鼻水吸い取り機「メルシーポット」でした。
鼻水が喉に落ちて、咳き込んで起きて、睡眠不足で回復が遅れる、という悪循環を防ぐには、小まめに鼻水を吸ってあげるしかありません。
4月になって押入れ行きかな?と思っていたメルシーポットですが、むしろこれからがフル稼働だったようです。本当に買っておいてよかった。
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慣らし5日目・6日目「飲まぬ、食べぬ、泣きやまぬ」
金土日と安静にしていたおかげか熱がさがりました。
おかげで無事に慣らし保育を再開できたわけですが、恐れていた通りほぼリセット気味、保育園に着くと初日と変わらない泣きっぷりです。
やけに少ないな?と聞いてみると、イレブンのうち半数がお休み状態で、熱をだしたり、具合が悪かったりと思うように慣らし保育が進まないのはみんな同じようです。
さて、この週から娘にとっては最大の難関がはじまります。お食事開始です。
これも園によって違うのだと思いますが、娘が通う保育園では慣らし保育の2週目から飲み物とおやつが始まります。
5日目は想定していたとおり、まったく口につけずでお手上げ状態でした。
そして、翌日も……
うちの娘だけ断固飲食拒否。
1歳児クラスといっても1歳になったばっかりだったり、ほぼ2歳だったりばらつきがあります。こと食事については、歯の生え具合などで離乳食の進み具合もばらつきます。
なので、「保育園で飲食してくれない」問題は慣らし保育はあるあるらしく、先生もしょうがないかなぁという感じでした。
まぁ、娘の場合は戦国時代の殿様のような拒否の仕方なので、先生との信頼関係ができればクリアできる問題なのかもしれません。
自宅療養ふたたび
だいぶ問題点がしぼれてきた慣らし保育ですが、ふたたび発熱で中断となります。
前回の経験から3日程度で治ると高をくくっていましたが、朝起きると37.5℃以上&せき痰鼻水&嘔吐を繰り返して、結果的にはまるまる1週間休むことになってしまいました。
鼻水はメルシーポットで対策していたものの、痰はどうしようもなかった。痰が出やすくなるからと処方されたムコダインでむしろ回復が遅れたんじゃないかとか、いろいろと考えさせられます。
慣らし7日目「ありがとう保育士さん」
慣らし保育7日目、といっても4月の第3週の金曜日です。
ここまでフル参加できていれば15日間あったのですが、まさかそのうち半分も登園できないとは思ってもいませんでした。しかも、いままで半日未満しか保育園に滞在していません。
次週にかけるしかないなと思ってお迎えに行くと、
そこには元気に走り回る娘の姿が!
にわかに信じがたい状況を見ている妻に、先生が興奮気味に説明してくれました。
先生「○○ちゃんね、元気に遊んでるんですよっ!」
妻「ほんとですかっ!」
先生「そうなんですよっ!」
トイレから男の子の声「先生でたー!」
先生「うんこでたー?」
トイレから男の子の声「でたー!」
先生「でね、ごはんもね、バクバクたべたんですよっ!」
妻「(うんこ!?)ほんとですかっ!」
先生「春雨の炒めものなんですけど、完食ですよ!」
先生「先生がふくのでいいー?」
トイレから男の子の声「いいよー!」
妻「(先生ご苦労さまです)」
お迎えがまだの子を背中に抱えて、おトイレの子とやりとりしながら、娘の成長を報告してくれる先生、本当にご苦労さまです。
慣らし8日目
無事母親が職場へ。会社へは4月の最終週から出社予定と伝えていたようで、結果的には予定通りにことが進んだ形になりました。
まとめ
この後、ゴールデンウィークにかけて、娘の風邪→妻→私のコンボで我が家が全滅の危機になるわけですが…それはしょうがないとして、我が家では娘の慣らし保育におおよそ1ヶ月かかったといっていいかもしれません。
また、残念なことにイレブンのうち1人は慣らし保育がうまくいかず、5月に退園してしまったようです。
慣らし保育がはじまる前はわりと安易に考えていましたが、振り返ってみるともう少し準備をして望んだほうが良かったかなと思うこともあります。
とくに保育園との情報交換。保育園や先生にもよると思いますが、うちの場合は「慣らし保育」をどういう段取りですすめていくか園の説明がほぼなかったので、余計に不安が募ってしまった気がします(初日の何時に連れて来てください、としか確認できていなかった)。園側の事情も配慮しつつ、決まっている段取りや日々の状況をこまめに確認しておくべきでした。
まだまだ、始まったばかりの保育園ですが、保育士さんや仲間たちと楽しんで過ごせるよう娘ともども頑張っていきたいと思います。