「完璧な行司」になった母の姿が忘れられない
今週のお題「お母さん2014」
うちの母はとても活動的です。
昨年秋に食べた母の「余っちゃったからのっけて喰らえオオツガダケうどん」
若い頃の週末は、ママさんバレーや軟式テニス、ソフトボール。年をとってからは春に山菜採り、秋にキノコ採り、寒い初冬に野沢菜を漬けたりと動き回る毎日をおくっています。
隣の家の兄弟がキャッチボールしているのをうらやましそうにしている私を見て、グローブ片手に庭に出てくる、そんな母です。
実家に伝わるレシピで漬けた母の野沢菜漬け
で、母の忘れられない姿の話。
私が小学校4年頃のこと。些細なことがきっかけだったと思いますが、兄と怪我をしかねない喧嘩をしそうな時がありました。
ほっぺたをつねるとか、ちょいちょいちょっかいを出してくるんですね。で、その都度、私が怒って軽いつかみ合いに発展。
兄とは3歳差なので力の差も歴然です。いつもは大事に至るようなことはないんですが、この日は私がたまたまガラスのコップを手に持っていたんです。
そして、頭に血が上った私はコップを持ったまま兄に殴りかかろうとしていました。
その時です。
いつもとは違う不穏な雰囲気を感じだったんでしょうか、台所にいたはずの母がその瞬間、ものすごい速さでササッとカットインしてきました。
そして、すっと腰を落とし、右手に持っていたお玉を立て、私たちを交互に見たあとに低い声でこう言いました。
母「よし、相撲で決着つけるか、表出ろ」
あまりに完璧な姿勢と想定外のセリフ。ふざけるなよ!という気持ちとは裏腹に訳の分からない笑いがこみ上げてきました。
笑うまいと頬を噛んで怒りを戻そうとしましたが、行司の姿勢を崩さない母の姿に私は負けました。
そこには完璧な行司がいました。
後にも先にも母が行司でカットインしてきたのはこれっきりです。母も無我夢中だったのかもしれません。
この出来事からだいぶ年月が経ちますが、何かでカッとしそうになると私の頭の中にあの完璧な行司がササッとでてきて、沸騰した頭を冷ましてくれます。
これまでの人生、思わぬトラブルを避ける事ができているのは母のおかげかもしれません。ありがとう、母。ありがとう、木村庄之助。
将来、子供が喧嘩をしそうになっているのを見かけたら私も完璧な行司になれるか試してみようと思います。
今年の母の日にはちょっとお高いパックを贈っておきました。
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